海外移住者や海外赴任者は要注意!? 罪の記録と記憶 2019.4.15

海外移住者や海外赴任者は要注意!? 罪の記録と記憶 2019.4.15

犯罪経歴証明書というものをご存知ですか?
私たちの日常生活では、あまり必要とされることはありませんが、海外移住または就労や就学する場合で海外のビザを申請するとき、多くの国ではこの書類の提出が求められます。
駐車違反などで警察にお世話になったのとは違い、若気の至りで万引きをしたとか、喧嘩で人を傷つけてしまった経験がある人は、海外移住や海外転勤に必要なビザが取得できないばかりか、それをきっかけに勤務先や知人等に隠していた過去が知られるのではないかと心配される方がいます。
そこで今回はこの犯罪経歴証明書について説明します。

この犯罪経歴証明書とは、通称では無犯罪証明書といわれ、居住地の警察署で発行される、申請者の犯罪に関する経歴が記載された書類です。
申請するときは本人が申請し、念入りに指紋を採取されるので、他人が自分のものを見ることはできません。
海外の機関に提出するのを前提としているので、5か国語で記載されているようですが、文章は申請者に封筒で手渡され、開封すると無効になってしまうので中身を読むこともできないのです。
そのため、その記載内容がどうなっているのか心配をする人がいますが、実はこの犯罪歴の内容とどのくらいの過去までさかのぼり記録するかは明確な基準が定められています。

それは警察庁刑事局長から各都道府県の警察の長へ平成21年7月21日付で宛てた、「犯罪経歴証明書発給要綱の制定について(通達)」の第5の6に以下の記述があります。

次の(1)から(7)までのいずれかの場合に該当する申請者 は、当該(1)から(7)までに規定する犯罪については犯罪経歴を有しないものとみなす。
(1) 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過しているとき。
(2) 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられないで10年を経過しているとき。
(3) 罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられないで5年を経過しているとき。
(4) 恩赦法(昭和22年法律第20号)の規定により大赦若しくは特赦を受け、又は復権を得たとき。
(5) 道路交通法(昭和35年法律第105号)第125条第1項に規定する反則行為に該当する行為を行った場合であって、同条第2項各号のいずれにも該当しないとき。
(6) 少年法(昭和23年法律第168号)第60条の規定により刑の言渡しを受けなかったものとみなされたとき。
(7) 刑の言渡しを受けた後に当該刑が廃止されたとき。

よく警察にお世話になるとは、補導や逮捕、検挙されることが言われます。
これらは前歴にはなりますが、その後検察で起訴され、有罪にならなければ前科にはなりません。また執行猶予がついてそれを無事満了すれば、犯罪経歴として記録されることはないのです。

従って、多くの人はその知られたくない過去の過ちが比較的軽微といえるもので、その後をまっとうに生きていれば、犯罪経歴がない=無犯罪者として扱われ、海外移住だって海外転勤だってその過去が障害にならないといえるのです。
国によっては追加の資料の提出を要求する場合もあるようで、すべての国がそうだとは言い切れませんが、「過去に1度でも罪を犯した人は海外移住できない」と決めつけるのも正確性を欠いていると思います。

最近も薬物違反で芸能人が逮捕されています。過去に同様の罪で逮捕歴のある役者さんが亡くなったら昭和の大スターと評価されることがあり、犯罪ではないのに不謹慎な行動として活動を自粛する芸能人もいます。
このように芸能界ではどういう犯罪にどういう社会的制裁が加わるのか、まったく基準が曖昧であり、有名でかつ現役で活躍している方ほどその社会的制裁が大きいと感じます。

芸能人という職業を選択しない多くの方々は、過去の過ちを乗り越えてまじめな生活を積み重ねていくことで、その償いをしています。
もちろん、犯罪経歴証明書が記録しないからと言って、過去に犯した罪を本人が忘れることはいけませんが、十分に償った罪に関しては周りの人が記憶から消してあげるのは一つの更生方法といえると思います。

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