コラム

発見コラム「田井の目」

不動産鑑定士の目線で見る世の中はちょっと違う?!

2010/05/30

中人と調停委員

私が好きなテレビ番組の一つでNHKのタイムスクープハンターという番組があります。近未来においてタイムトラベルが自由にできるようになって、要潤扮するタイムスクープハンターが現在よりも過去の、室町時代とか江戸時代に行って、その当時の一般庶民の生活の様子をドキュメンタリータッチで伝えるというSF歴史ものです。

一般に歴史ものというと教科書に出てくる偉人であるとか著名人を取り上げているものが多いのですが、この番組は”加賀の献上氷を江戸まで運んだ飛脚の苦労話”とか、”明治初期にリストラされた武士がカステラ職人に弟子入りして店を開くまでの物語”とか時代や当時の権力者の意向に翻弄されながらも必死で生きていたであろう庶民の人生を映し出していてとても興味深いです。

そんななかで今回のテーマは「中人」」の話でした。
時は室町時代、当時の人々は道徳的な教育水準も低く、ちょっとした些細なもめ事がきっかけで村を分けて石つぶてを投げあうような争いが各地で頻発しひいては地域的な大抗争に発展してしまうことがたびたびあったそうです。

その争いに対し、誰に言われたわけでもなく仲裁に入り、双方を仲直りさせる役割をかって出た人を「中人」とよんだそうです。中人の仕事はそれは過酷なもので、けがをしたり、自らの私財を投じて紛争解決をはかったこともあったそうです。しかし、大きな争いになって多数のけが人や不幸な人がでるぐらいならと、自らが中人として紛争解決に臨んだ一庶民もまたたくさんいたそうです。

その名もない中人の活躍に少しの共感と大きな感銘を受けました。というのも私も今春から民事調停委員としてそれこそ大きな紛争ではないですが、当事者にとっては重大で、大問題になりかねない事案に対し、紛争の解決のお手伝いをしているからです。

かれら中人と私が違うのは、石つぶてが飛び交うような危険性は低く、また裁判所のなかで秩序正しく行われるものであること、また我々の身分や待遇などもきちんと定められて、職業として行う事ができることです。

現代のような紛争解決のシステムがない昔にあえて中人に名乗りでたものが少なからずいて、庶民の間で作り上げた制度として史実に記録されていることは驚きであり、昔の人間の心意気に感心するばかりであります。

そして私のような一介の調停委員でも、もしかしたら大きな火事になるであろう火種を消すお手伝いができているのかもしれないと思うと身が引きしまる思いでありました。

残念ながら揉め事は今も昔もつきません。冷静な自分の主張ができなくなり、感情におもむくまま暴動に走り、最後は武器を手に取ってしまう事もこの高度に教育を受けている現代社会において、そして地球上のあちこちでも見受けられます。いろいろな国で”中人”が活躍し、このきな臭い空気を吹き飛ばしていただきたいと思います。

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