コラム

発見コラム「田井の目」

不動産鑑定士の目線で見る世の中はちょっと違う?!

2013/11/08

国外財産調書の不動産価額はどうやって書く?

平成24年の税制改正により、平成25年12月31日における国外財産の保有状況を記載した調書を平成26年3月17日までに提出する制度(国外財産調書制度)が創設されました。これは日本に居住し、5,000万円を超える資産を海外で保有する人が対象となります。

資産と一口に行っても株や債券など様々であるのでその制度の詳細はとてもご紹介しきれませんが、不動産鑑定士として関心が高いのは「国外にある不動産の価額をどうやって決めるのか?」です。

記載例を見るとシンプルに価額(それも円建て)で書いてあるだけでこの価格は「時価」または時価に準ずる「見積価額」とされています。

それでは「時価」とはなにかということですが専門家による鑑定評価額もそのひとつであるという認識のようです。

ただし「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」なんてのを注意深く読むと「固定資産税の評価額でもOK」との解釈もでています。

法令上は固定資産税の相続税も「時価」ですが、現実的に取引される価格は違います。日本でもやはりその差はあり、海外でもその差は確認され、その証拠にFair value(公正価値)やTax assessed Value(税制上の価値)と言われその相違が議論されています。

制度上あまりこの価値論に関し詳細な定めがなく、とりあえずは保有する国で資産税が課税されている場合はその金額を記入すればよさそうです。

。。。しかしそもそもすべての国が日本のように固定資産税評価額が明示され課税されているか分からないですし課税明細のフォーマットも違う可能性がありますのでどれが「価格」に該当し、どれが「課税標準額」に該当するかも結構読み解くが難しいかも知れませんね-。

じゃあ「路線価で査定するか」といってもこれまた路線価を実施していない国もあり、さらに地価の上昇が著しい国では数年前の「取得価格」が「時価」を反映しておらず実際に売却などをしたらすごい乖離がある可能性があるので十分注意が必要です。またそもそも論として不動産を土地と建物の別々ととらえず一体として考える国も多くあるので建物は償却後の価格と言われてもどうやって分けるのかが素朴に疑問であります。

一応我々の監督官庁である国土交通省では、海外不動産を鑑定評価する際の「海外投資不動産鑑定評価ガイドライン」を平成20年に策定してどのように海外の鑑定士と業務を進めるべきかのルールを定めています。

ただしこの制度ができた背景としてJリートによる海外不動産投資が可能となった場合の必要性に対応するのが目的だったので、”Jリートなどの投資法人による大規模な投資不動産の正式な鑑定評価”を念頭に置いているようです。

そしてあれからわずか5年で海外不動産の価値を適正に把握する必要性は個人にも及んできました。

国土交通省や協会としても今回の税制の改正を捉えて”海外個人所有不動産の評価ガイドライン”なんかを簡易評価版と正式評価版に分けて提示してほしいものですし、私個人としても大変興味がある分野なので、依頼がこればいつでも対応できるよう準備を進めて行きたいと思います。

【関連資料】
パンフレトと記載例 (PDF:942KB)

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