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発見コラム「田井の目」

不動産鑑定士の目線で見る世の中はちょっと違う?!

2014/08/04

空き家問題とブロークンウィンドウ理論

 空き家問題は最近特にクローズアップされ、7月下旬に発表された総務省の2013年の住宅・土地統計調査の結果によると住宅の全国総数6063万戸のうち820万戸が空き家(マンションなどの共同住宅の一室も含む)で、5年前の前回調査から63万戸(8.3%)増加し、総住宅数に占める割合(空き家率)も最高の13.5%に増加したようです。将来的には総戸数は6600万戸で打ち止めになりますが、空家はどんどん増加し1,000万戸に達するという予測もあるようです。
 
 この空き家問題は一見、個人の不動産の利用の仕方と思われますが、空き家を放置することで家が老朽化し、屋根や壁が崩壊などして近隣住民に迷惑がかかったり、ごみの不法投棄で火事につながるなど防災上の問題点が指摘されています。
 
 しかしそれ以外にも「ブロークンウィンドウ理論」によれば、重要な問題を孕んでいることが予想されます。
 
 ご存知の方も多いと思いますがこの「ブロークンウィンドウ理論」とは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングという人が提唱した考えで、割られた窓ガラスを放っておくと地域への関心が薄れて同様の軽犯罪を招き、やがては凶悪犯罪につながるという学説であります。
 
 ニューヨーク市で94年に就任したルドルフ・ジュリアーニ前市長が治安回復のためにこの考え方を取り入れ、「小さな犯罪からしっかり取り締まろう」ということで落書きや駐車違反などの軽犯罪を徹底的に取り締まった結果、その後は殺人事件などの凶悪犯罪が大幅に減少し、NYは安全な街に生まれ変わり観光客も大幅に増えたようです。
 
 この理論によるとまさに空き家のままで窓ガラスが割れたり壁が崩れた状態を放置しておくと、近隣のみならず地域全体の治安レベルが低下してしまい、大げさかも知れませんが日本そのものの安全というイメージまで損なわれそうであります。従って空き家問題は不動産の問題のみならず防災や防犯や観光戦略などの問題につながるような気がしてなりません。
 
 その空き家問題に、政府は放置された空き家の撤去を促す方法として、固定資産税の減免措置の見直しを検討することで対応するようです。確かに税コストが上がることで撤去を促せる側面はありますが、「促せればよし」というレベルの問題ではないことはこの理論上明らかであります。
 
 従って固定資産税の担当者のみならず防災や防犯上など様々な人員や予算からでも手を打つべきだと思います。さらに、撤去しないのは撤去するお金がないことが考えられるので、民間のローンを借りればいいのですが、再建築の見込みがないと融資がおりなかったり、そのような制限がない無担保ローンだと金利が高いことが考えられるので、自治体主体による低金利の「撤去ローン」や金利の優遇などの側面からの対策も必要ではないかと思われます。
 
 とにかく、「国や自治体が協力して。。。」という悠長なことは言っているヒマはなく、具体的な対策をたて、実行しなければいけない時期に来ているような気がします。

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