• 田井の目

宮古島 ~リゾートライフの光と影~

 先月は出張で宮古島に行って来ました。業務で沖縄本島まではいった事はありましたが国内最南端を更新することができました。初めて降り立つその地は、やはり湿度が高く、眼鏡が曇りに曇って東南アジア感が満載です。

 そんな南の島でもあたりまえですが不動産がありそれを評価するニーズもあります。ただし不動産というものは本当に地方ごとに特徴があります。土地の平均単価は統計上だと坪3万円ぐらいのようですが、小さな島の中でもその格差は大きく、中心商業地はその10倍ぐらい、一方島内でも郊外に位置する住宅地は1/3ぐらいの水準格差があるようです。

 そして建物に関し面白いのは、戸建住宅だとこちらの感覚では木造が中心ですが、宮古島は台風や塩害の関係で木造だともたないせいか、そのほとんどがRC造であります。そして一度建ってしまうと、建て替えには本土よりも多額のコストがかかるので、古いのを大事に使わざるを得ません。そして気象条件が厳しいせいか、外壁は“白華現象”といわれるコンクリートで白く濁っている建物が目立ちます。それゆえ、本土だとクリーニング店はお店のイメージから看板や外壁をこぎれいにしているものが多いですが、失礼ながら写真のようなお店もあるのも、この島の特徴といえそうです。

 戸建住宅は本土からくるお客さま向けのゴージャスなものと、ローカルなものの価格差が著しいです。本当にローカルな場所で中古住宅を探せば、1千万円で戸建住宅が手に入ります。海もきれいで、温暖な気候は、田舎暮らしを求める人にとってはテレビで見るようなパラダイスに思えるかもしれません。

 しかし、テレビで放送される田舎暮らしの注意点は、その多くの映像が、晴れた昼間であることです。
私の場合、宮古島に行った日がちょうど台風が近づく時で、曇り空であったため、夕焼けも見ることはできませんでした。すると、夜が迫るにつれ街灯もない町はあっという間に夜の闇に包まれます。少し晴れてうっすら月明かりが出て、弱弱しい星明かりがあったとはいえ、星灯りがぽつりぽつりと地上にこぼれ落ちた程度の街の灯以外は、まさに漆黒の闇に包まれています。
昼間の陽気な感じとはうって代わり、夜は虫や動物が蠢き、パーントゥのような精霊がいない方がおかしいと考えざるを得ないような、都会とは全く違う夜がおとずれます。

 当然地価が安い郊外にコンビニなどはなく、病院や各種利便施設も徒歩圏にあるわけがなく、車で行くにも真っ暗な中を疾走することになり、多くの都会で生活している人にとっては結構度胸がいることと思います。

 このように不動産の価格がリーズナブルであるため、移住とかにあこがれる方も多いと思いますが、リゾートは昼間の“光”の部分だけでなく、夜の“闇”、すなわち都会暮らしだと当たり前に手に入る夜の明るさとか、日常生活の便利さを手に入れることが極めて難しいという部分もあります。この両面を十分にご検討頂いて自分に合ったリゾートライフをご計画していただければと思います。

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