• 田井の目

近江八幡は”三方よし”

2012/09/27

近江八幡は”三方よし”

先週末は私が所属している名古屋国際都市問題研究会(NIMRA)のメンバーと近江八幡に1泊旅行に行ってきました。今回初めて旅行の幹事を拝命したのですが、この濃いメンバーの々にどんなプランが喜ばれるか悩みましたが、いろいろな出会いに恵まれ、とても充実したものになりました。

土曜日のお昼に到着後、地元の郷土料理でランチの後は、近江八幡市立資料館の館長に「近江商人に学ぶ」という研修会をして頂きました。近江商人は楽市楽座の自由商業主義の時代に活躍し、”買い手よし”、”売り手よし”、”世間よし”、という「三方よし」の理念を掲げ、自ら利益のみを追求することなく、社会事業に大きく寄与し、地域の発展に貢献したようです。今でも顧客満足度や企業の社会的責任(CSR)などという新しいキーワードを用いてその必要性が唱えられていますが、ずっと以前にその重要性を認識し実行してきたことに、私も商売人のはしくれとして見習うことが多いな~と思いました。

その後は、近江八幡で様々な社会貢献活動を行い、多数の作品を残したウィリアム・メレル・ヴォーリズの建築物を見学しながら街歩きをしました。建築家としての偉大さもさることながら”世間よし”のために人生をささげたその姿は今風でいう社会企業家とはどこか違う、理念や精神を感じさせるものでありました。

そしてお宿は八幡酒蔵工房にお世話になりました。こちらは築120年の放置町屋をリノベーションしたお宿です。従ってお風呂は無く、窓はピッタリ閉まらず、バリアフリーにはほど遠いです。。。しかし1泊6,000円で近江牛すき焼きの夕食と朝食付きという安さに加えて、昔懐かしい庭や建物の佇まい、そしてそれ以上に当該宿泊施設を運営されている人との出会いは価値あるものでした。

その方は八幡工房以外にも地域活動のNPOの理事や任意団体を運営をされて地域や自然をいかした街づくりをされています。我々の活動にもご理解を頂き、それがもとで夜には、地元地域会の代表者の方々とカジュアルな懇親会を開催することができました。

これらの地域会はある方が定年となり時間が出来たので愛する地元のために何かしようと、堀の掃除や山の手入れなどをし始めたことから始まったようです。そして後に賛同する方が増えて組織化され、さらに同じような地域貢献活動をする任意団体が次々と設立され、その活動範囲を広めていき今では街おこしなどで行政を動かすまでになったようです。

懇親会でお話し頂いた方々は私よりも大先輩なのですが、みなさん元気なことこのうえなく、夜も遅くなり旅行の疲れで眠くなり無口になっていった我々とは対照的に、”伝えたいことが山ほどあるんだ”というエネルギッシュさに満ちあふれていました。ほとんどの方がいくつもの地域会にかけもちで入っているのでリタイアしたのにスケジュールは一杯だと嬉しそうにお話しされ、確かに、街かどで観光案内の地図を配る人や観光施設でボランティアをされている人が多いことが印象的でした。

近江商人といい、ヴォーリズといい、今の地域会の方々といいどうやら近江八幡には社会のためになにかするという精神や文化が脈々と受け継がれているのかもしれません。そんな地域としての特性から、市民の方々はもはや習慣として社会貢献活動が行われているといえるでしょう。

このような素晴らしい人との出会いや美しい景色にこころが満たされ、近江牛やたねやのお菓子も満喫しておなかも満たされ、それでいて宿代や名古屋からの交通費も安く財布にやさしいと、まさに”三方よし”の旅でありました。

(ご一緒させて頂きました、建築家であり、次世代の構造体”あたけぼね”を発明された、阿竹先生のブログも是非ご覧ください)

 

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