• 田井の目

日本人は信心深い国民であーる

2013/09/02

日本人は信心深い国民であーる

8月31日と9月1日にわたりNIMRAのメンバーのみなさんと緑陰講座と称する年に一度の研修旅行に伊勢に行ってきました。

伊勢といえば今年は式年遷宮が取り行われるということで観光で行かれる方も多いですが、我々はNIMRAのメンバーで次世代の構造体の発明家であり建築家である阿竹先生のはからいにより「お白石持行事」に参加することができました。

専門用語での解説はほかに譲り、素人解釈で説明しますと式年遷宮を一言でいうと「神様のお引越し」であります。ただしお引っ越しされるが神様でありますから新居を建てる木を切ったり曳きいれるなどのすべての行事が”お祭り”でありまして、平成17年からスタートしたものが今年で完了するわけです。

その一連の行事の中で、新居のお庭にきれいな白い石を運ぶのがこのお白石持行事であるといえます。民族行事として、一般市民が参加でき、普段は決して間近に見れない御正殿に近づくことができるわけですからこれは非常に貴重な機会です。従って我々NIMRAのレギュラーメンバー以外でご講演頂いた三重大学建築学部の菅原教授始め、様々な大学で建築を教える立場の先生方が、普段は文献でしかみれないものをこの目で確かめようとお集まり頂いたので非常に賑々しい会となりました。

本来なら「神領民」といわれる伊勢市民のみに許されるご奉仕でしょうがいまは市民でなくても「特別神領民」として参加はできます。とはいうもののやはり地元でご縁のある方から声掛けがなければなかなかできないわけでありまして、なんとなーく白っぽい恰好をし、特別というより「にわか神領民」に扮した我々は「宮後」町のみなさんにまじり、車を曳き、石を運んだのでありました。

写真撮影が禁止の御正殿の建築学的・歴史的見解はご参加された先生方がブログや論文で発表されると思うのでこれまた他に譲るとしてただただ美しく荘厳で”鑑定ができない建築物”を見れたのは本当に幸せであります。ご参加されたメンバーもその場を立ち去りがたいようで、あーでもないこーでもないと神聖な場所であることを忘れ建築談義に華を咲かせていたようでありました。

このお白石持行事行事は9月1日で最終日となり、22万人以上が参加したようです。様子がyoutubeにアップされ、参加するための服装などのグッズがネットが買えてしまう現代ですが、若い方も含めかなり多くの方がこのご奉仕に参加します。思い出づくりやブログのネタづくりという方々もいるでしょうが、髪が茶髪の若い方が真っ白な正装をしつらえて、きちんと整列し、鳥居をくぐるたびに頭を下げ、粛々と奉献する姿も多くみられたのは印象的でありました。よく日本人は宗教心がないといわれますが、決してそんなことはなく、むしろ信仰心が篤いのではないかと思ってしまいましたね-。

そんなこんなで立派にお勤めを果たした我々は夜のお宿は創業200年の登録有形文化財である老舗旅館”麻吉”に移った後は到着早々、直会(なおらい)が始まったのでありました。

解釈によっては直会そのものも”終了後の打ち上げ”でなく神事の一部を構成しているようです。うーん、直会を夜中(というより早朝)まで続けた我々はちょっと信仰心が篤すぎるのでありました。

【関連資料】
写真 (PDF:1286KB)

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