• 田井の目

ロボットと不動産の関係

2016/02/05

ロボットと不動産の関係

昨日は私が所属している名古屋商工会議所の金融証券部会に参加し大府市にある国立長寿医療研究センターを訪れ、健康長寿支援ロボットセンターの施設見学をすることができました。

同施設はもともと産業用ロボットの実績があるここ愛知で、その技術やノウハウを医療・福祉分野へと活用を広げるために最前線の現場で実証を行うものであります。

従って使用されているロボットは開発段階であるため、写真等での記録はできなかったのですが、商売柄が違う分野の私にとっても非常に興味深いものでした。

まずセンターの先生によりお話しを伺いました。それによると高齢になって体が弱る(フレイル状態)とバランスを失って転びやすくなり、転んだ恐怖から外出を避けるようになって筋肉量が落ち、筋肉量が落ちると体を動かすのがおっくうになって余計に体が弱まる、という負のサイクルが生じるようです。

その負のサイクルを断ち切るため、ロボットで行うバランス訓練や歩行訓練は非常に効果があるという説明をうけました。

確かにその後に訓練に使うロボットを体験させて頂きましたが、セグウエイのような機械に乗り、Wiiのテニスゲームやスキーゲームなどをやって平衡感覚を鍛える訓練は楽しく行えるゲーミフィケーション化された医療でありました。

また人間型ロボットのぺッパーやアザラシ型ロボットのパロなどの人間の会話聞く”傾聴ロボット”は認知症患者が抑うつ、徘徊、不穏興奮(BPSDというそうです)の予防につながるようであります。

このようなロボットによるサポートは、なんか人間の能力をダメにしてしまう先入観があり、特に傾聴ロボットには個人的にはあまりいいイメージを持っていませんでした。

しかし施設を見学し、人間が老化して失っていく力をロボットを使ってうまくカバーすべきものであるし、例えば理学療法士さんが訓練で「良くなってますよ~」と声掛けするより場合によってはゲームでスコアが上がる方が訓練のモチベーションがわくという話を聞いてあらためてロボットとのうまい付き合い方を考えていかなければならないなーと感じました。

現在ロボットは高齢者の活動の部分的なサポートができるようになるのが中心ですが今後は家の様々な設備をインターネットでつなぎ(IOT)スマートテクノロジーによる見守りが可能な住居とそれが実現できるコンパクトシティが求められるようであります。

その段階では大きく不動産とも関わってきそうでありますが、それは遠い未来ではなく、むしろ日本の高齢化の状況から早く進めなくてはならないのではないかと感じました。

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