• 田井の目

空き家対策法の次は空き地対策法が必要?

2016/04/25

空き家対策法の次は空き地対策法が必要?

建物を相続した人が維持管理せず、長い間放置してしまうことで景観を損ねたり、屋根や壁が崩れてしまうなどの安全性が問題になるのが空き家問題であります。
固定資産税が上げるなどのペナルティが一応定められ、解決への取り組みが少しづつ始まりましたが、それとはちょっと異なる問題として「空き地問題」もあるようです。

それは土地の持ち主や境界が不明のまま放置されることで、土地の有効利用や公共事業が阻害される社会問題のようです。

かつてテレビで見ましたが沖縄にも古くから「所有者不明土地問題」があります。
それは、沖縄が戦争でもともとあった公図や公簿類が焼失してしまい、その後に米軍が占領するため公有地や私有地の土地所有権を確定する必要性から土地所有権認定作業が1946年から1951年に渡って行われたのですが、その間に何らかの事情により所有者から申請のなかった土地などが「所有者不明土地」となって現在でも多く残っているようです。

この所有者不明土地については「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」の規定に基づき、沖縄県がその管理を行っているようでありますが60年以上経過し、当時のいきさつを知る関係者が高齢となることで、ますます解決が困難になり、その面積は現在県全体で100ヘクタール弱にまで増えてしまっているようです。

さてこの沖縄の所有者不明土地問題は戦争により所有者を確定する資料や所有者そのものが亡くなってしまったために起きている問題でありますが、最近の全国で拡大している所有者不明などによる空き地問題は相続が発生してもそのままに放置していることがその主たる原因のようです。

未登記であるため相続人が確定できない点は、それこそマイナンバー制を不動産所有者をひも付けするようにしてしまえば、今後の世代の相続人の確定は簡単であります。
問題の本質は空き家とよく似てて、持ち主が”所有に熱意を失っている”ことではないでしょうか?

一応日本では熱意があろうがなかろうが、つまり積極的に管理しようがしまいが、不動産の「所有権」に対する絶対性を認めてきたわけでありますが、高齢化社会になるにつれ自分の体でさえ誰かや何かの助けが必要になる人が増えた社会では、居住地以外の自分の土地の管理なんかとてもできない人が多くなるのは必然かも知れません。

そう考えると空き家問題もこの空き地問題も高齢化社会で起こりうべくして起こった問題であり、おそらく今までの考え方に沿ったルールでは相当解決は難しいと思います。

現在住んでいる土地を立ち退かせて道路を作ることは「公共の福祉」といえども慎重に行うことは変わりはないですが、このように使用の実態がない土地等を公共の用のために収用するなどの手続きは、少々乱暴かも知れせんがかなり簡素化して国や地方自治体に帰属できるようにしなければ都市そのものも共倒れになってしまうような気がします。

さらに今後は区分所有者が高齢化し居住者が歯抜けに状態になっていくマンションの「空き部屋問題」がものすごいスピードで起こってきます。
不動産の所有権に対する考え方を変えなければいけない時期に来ているのかも知れません。

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